手術当日②

手術室

まず、ベッドに上がるように言われます。

 

すぐに血圧を測ったり、点滴が打たれたりと慌ただしく処置が行われていきます。

この時の点滴が本当に上手で驚いたのを覚えています。

 

ついに先生が入ってきて「10分しか麻酔は効きません。その間にすべて終わりますよ。」と言われました。

「それでは麻酔が入ります。」

看護師さんの声と自分の心拍を聴きながら、

今まで我慢していた涙が出てしまい、自分の頬を流れていくのがわかります。

 

ついに私のおなかから赤ちゃんが出て行ってしまうんだ・・・

 

次の瞬間まぶたにすごくカラフルな映像が映り、

ボーっとした頭の中に先生と看護師さんの会話が入ってきます。

 

痛いとか、気持ち悪いとか、そういうのはないけれど、

今手術が行われているんだとはっきりと感じました。

 

何分経ったのかはわかりませんが、何やら処置をされているという感覚があるような、

夢を見ているような気持ちになりました。

 

感覚が何もなくなってから、

「出血が多かったから・・・」という看護師さんの声が聞こえてきて、

「終わったんだな」と思い、少し眠ろうと思いました。

 

少し時間が経ってからのように感じましたが、「トントン」とドアをノックする音が聞こえました。

 

目は開きませんが、声で夫と母だとわかりました。

いろんな話をしているのを聞きながらボーっとしていると、

意識がはっきりしてきました。

 

目を開けると、ちょうど病院に来てから1時間が経とうという頃でした。

 

だんだん手、足と動くようになってきて、結局手術から1時間後には病院を後にしました。

 

抗生物質と子宮を小さくするお薬をもらい、

これを飲み終わったらもう一度診察に来るようにと言われました。

お代もその時に、とのことで誰もいない待合を通って帰りました。

 

朝から何も食べていなかったので、近くの飲食店に入り普通に食べました。

オレンジジュースが体にしみわたるような感じがしました。

 

お薬を忘れず飲んで、帰宅。

夫は母を駅に送っていってくれました。

寝ようと思うのですが、一人になると涙があふれてとても眠れませんでした。

「また、いつか会おうね」

「生んであげれなくて本当にごめんね」

いろんな感情が、一気に溢れだすようでした。

 

そして長い長い一日が終わったのでした。